晴耕雨読日記(仮)

以前、はてなダイアリーで書いていた「晴耕雨読」の引っ越し先です。今の生活は全くもって「晴耕雨読」ではないので、タイトルは現在思案中。

「アルジャーノンに花束を」

演劇集団キャラメルボックスアルジャーノンに花束を」@サンシャイン劇場。2回目だけど、前回はイグニスキャストで、今回はアクアキャスト。イグニスはチャーリィが阿部丈二、キニアン先生が岡内美喜子、アクアのチャーリィは多田直人、キニアン先生は渡邊安理。

うちの相方的には、アクアキャストの方がよかったらしい。理由は、「チャーリィの傲慢さがより出ているから」。
「かしこくなりたい」と思って、手術を受けたチャーリィ。希望したとおり、彼はどんどん知識を身につけていくが、それと同時に「自分と同じ知識を身につけていない人」を見下していくようになる。心の成長が伴っていないのだ。何十もの言語が身についても、一日に何冊もの本が読めても、チャーリィはひとりぼっち。そしてますます傲慢になっていく。
……というチャーリィを、多田くんは熱演していたと思います。
でもやっぱりイグニスの方がよかったなー、と思うのはチャーリィとキニアン先生、の組み合わせとして阿部+岡内の方がしっくりくるからかもしれません。
チャーリィは確かに知的障害を持っていますが、子どもではない。「今度の誕生日が来たら33歳」の、立派な大人です。そしてキニアン先生も。「アルジャーノンに花束を」はわずかな時間ではあるけれども大人の恋物語でもあると思うので、その線だとイグニスの二人のほうが私は好きでした。

以下、雑感。

  • 冒頭ダンスシーン、フロントは大内・畑中で美しい。あつをさんのダンスは、どたばたしてなくて美しくて好きだ。
  • あと、ト書きの部分の朗読のところも、あつをさんのパートは心に染み入るのであった、特にラスト間際。
  • 阿部くんの、学会の議長の役。はっちゃけすぎでしょー(笑)。菊地警部かと思った。
  • チャーリィの母、ローズの坂口さん。痛かった……。どこか他人事の父親に比べるとやはり母親はいろいろな思いがあるんだろうなあ。叫ぶほど。辛い役だと思います。
  • 客席が号泣モードに入る中、いやまだ早いでしょとしれっと観ていたのだが、今回もやはりかじもんのパートでうるっと……。彼の演じるジョーはそもそもチャーリィをいじめていたはずなんだけど、退行してパン屋に戻ってきたチャーリィをバカにしようとした新入りに殴りかかるところ。ジャイアンっぽいっちゃジャイアンっぽいんだけど、彼もまた日々成長しているわけだ。途中のカフェのシーンで、やはり指摘障害のある青年を少しだけ演じていましたが、これもよかった。今の若手男子の中では、注目株だと思うの、かじもん。
  • 若手といえば、市川草太くんはいい感じに育ててもらってるねえ。なんだかんだで着々と経験を積んでいる気がする。
  • 今日は終演後、加藤さんがロビーにいた。何か最近お忙しそう。

次回のキャラメルは、「広くて素敵な宇宙じゃないか」3チーム公演。去年の「銀河旋律」もチームごとに違う芝居になってておもしろかったのですが、今回もなんだかおもしろくなりそうな気がします。