晴耕雨読日記(仮)

以前、はてなダイアリーで書いていた「晴耕雨読」の引っ越し先です。今の生活は全くもって「晴耕雨読」ではないので、タイトルは現在思案中。

SHINKANSEN☆PRODUCE いのうえ歌舞伎「吉原御免状」@青山劇場

マチネで、「吉原御免状」を見に行く。


この芝居についてはあちこちでいろいろな意見が出ている。「新しいチャレンジだ」という声もあれば、「せっかくの配役がいかせていない」とかとか。
まあ、観てみないとわかんないね。と思ってできるだけ素の心(?)で観てみる。


いつものように、ジューダス・プリーストの「DEFENDERS OF THE FAITH」がかかるが、心なしか音がか細い……。劇場が広いから?演舞場とかだと耳をつんざくように聞こえるのに、青山劇場では非常にお行儀のよいジューダス・プリーストという感じ。
この、劇場が広いの?という感じはセットにも感じた。周りセットでうまく空間を使っているとは思うのだけど、群衆がたくさん出てくるシーンで、決して人数は少なくないのに、なぜか舞台上が埋まっていないような印象があるのだ。なんでだろう…


さてお芝居。滑り出しはまあ上々。オヒョイさんの台詞が入ってない、という噂で、冒頭若干かんでいましたが、堤真一がうまいことフォローしていました。
古田新太堤真一の殺陣はさすがに美しい。お話が進んで行くにつれ、本気度が増していく感じで、いいねえ。


キャスティングは悪くないと思う。たしかに、まったくギャグなしの橋本じゅん、というのは意外だったけど、新鮮。力がないのに頭領を任され、柳生家百年の計のために自らの役目を自覚しながら何事にも堪え忍ぶ、という役が意外にしっくりしたし。ギャグだけじゃないぜ>じゅんちゃん
古田新太は思いっきり悪役だったし、堤真一も「天然過ぎるのも罪だよな」ってほどの純粋な心の持ち主をよく演じていたと思うし。松雪泰子もはまっていたし、梶原善ちゃんは、もとから新感線役者ですか!?ってくらいはまっていたようにも思う。


ギャグなしでも飽きさせずに見せきったのはすごいと思うけど、でも劇場を出た後「あー、そろそろ思いっきりバカな新感線が観たい……」と思うのはなぜなのでしょう?
舞台を裸で走り回る古田新太が観たいー!あと、ぴっちぴちの衣装を着て、クイーンに限りなく似た別の歌を歌いまくる右近さんが観たいー!


でも当面観られそうにない。がっくし。


あ、あと、このところの新感線の公演で流行っているスタンディング・オベーション、あれは見直しが必要なんじゃないかなあと思う。スタンディング・オベーションにふさわしければ、思いっきり立って拍手してもいいと思うけど、毎回ってどうなんだろう。最初に違和感を感じたのは、「アオドクロ」の初日だったけど、初めは「ああ、染五郎丈のファンなのかしら」と思っていたら全員立っちゃったので「え!?」ってびっくりしたのね。だって、あの初日はまだできあがっていなかったもん。まだまだ形になっていなかったのに、スタンディング・オベーション?そう思ってどうしても立てなかったんだけど……。
カーテンコールの拍手や、スタンディング・オベーションが役者に対する私たち観客の意思表示であるなら、使い分けも必要なんじゃないかと思った一日でした。