天の声
実は、寝言を言う癖がある。
小さい頃は夢遊病だったらしい。よその家で泊まると夜中にしくしく泣くし、自分の家でも夜中にふっと起きあがってふらふらと歩く子どもだったそうだ。
成長するにつれておさまったらしいが、小学校の修学旅行に行かせるべきかどうか、うちの母はぎりぎりまで迷っていた、と後から聞いたことがある。
「お父さんが死んでからそうなったのよね」
と母は言っていた。かわいそうとか不憫とかそういうことじゃなくて、たぶん成長の過程で心のバランスが崩れることがあったんだろう。私も気がつくと布団の上でわーわー泣いていた記憶がある。何かが怖くて。
で、寝言なのだけども、そういう癖があることは結婚してから知った。
……考えれば当然か。自分で自分の寝言は聞けない。うちの旦那さんに指摘されて初めて知ったのだ。
「ゆうべ、こういうこと言ってたよ」
と言われて、思い当たるふしがあるときとないときがある。
あと、寝言に旦那さんが返事をしているのを自覚しながら眠っているときもある。そういうときはすごく重要な夢(笑)を見ていて、その中身を忘れたくないとか、すごく大事なことを聞いているから誰かに伝えなきゃ、とか思っている。それで、ああ今夢を見ているなあ、と思いながら口が動くのだ。
しかし、久しく寝言は出てこなかった。ぐっすり眠っているせいか。
ところが、今日の朝久しぶりに寝言が出たらしい。今日はまるで記憶がない。
「今朝、久しぶりに天の声(と旦那は言う)を聞いたよ」
「え、なんか言ってた?わたし」
「100件とれたのー、って言ってた。運動も入れてー、って」
意味わからん。
でも前半の100件とれたのー、は思い当たるふしがないわけでもない。仕事がらみだな。今月、目標がきっついからなあ。病んでるなあ。
心に何かたまってきてるのかしらん。