晴耕雨読日記(仮)

以前、はてなダイアリーで書いていた「晴耕雨読」の引っ越し先です。今の生活は全くもって「晴耕雨読」ではないので、タイトルは現在思案中。

「レスリー・チャンの香港」

まだ読了していないのですが、この本のことを。

レスリー・チャンの香港

レスリー・チャンの香港

レスリーが亡くなって、今年で5年。熱烈なファンというわけではない私でも、あの日のことは忘れられません。ネットのニュースで見た時、たちの悪いエイプリル・フールネタだなあ、こんな有名人が死んだなんてあり得ない、とまず思って、それからそれが実は本当らしいとわかったときの、じわじわと足下から何かがはい上がってくるような居心地の悪さ。


著者の松岡さんはその前書きである「はじめに」の中で、

レスリーというスターは、自らが好んでそうしたわけではないものの、香港の現代史と共に歩んできた人だった。



松岡環「レスリー・チャンの香港」(平凡社)p.7

と書いているが、私にとってレスリーは英領香港の人で、中華人民共和国香港特別行政区の人ではなかった。レスリー自身がどう思っていたかはわからないが、私にとっては。


山口文憲の「香港 旅の雑学ノート (新潮文庫)」を入門教科書として香港好きになった私は、今の香港と、私がハマった香港は異なると感じる。自分が住んでもいないよその国のことをどうこう言う権利はないけども。レスリーは、返還前の香港によく似合う人だった。「欲望の翼」や「君さえいれば/金枝玉葉」、「夢翔る人/色情男女」のような映画に出てくる人で、「追憶の上海」はものすごく違和感があった。少なくとも、中華人民共和国の人だとは思えなかった。
この本には、そんな「英領香港のレスリー・チャン」の姿が描かれているように思う。あの頃を追悼しているような気持ちでゆっくり読んでいる。