晴耕雨読日記(仮)

以前、はてなダイアリーで書いていた「晴耕雨読」の引っ越し先です。今の生活は全くもって「晴耕雨読」ではないので、タイトルは現在思案中。

リリパット・アーミーII「罪と、罪なき罪」@座・高円寺

リリパット・アーミーIIの「罪と、罪なき罪」。初演も見てます。あの時は下北沢だった、スズナリだったっけ。とにかく舞台が狭かった。そのせいか舞台が立体的に作ってあって、冒頭の牛鍋屋のシーンが妙に現実味があった。

……といいつつ、どんな話だったかは実は始まるまでまったく忘れていた。一緒に見に行った相方に「大津事件の話だよ」と言われても、「うーん……牛鍋屋が出てくるのは覚えてるんだけど」くらいのあいまいさ。

だったのだが、舞台上に谷川未佳演じる「よし」が出てきた瞬間、一瞬にして思い出した、どういう話だったか。

記憶のメカニズムは不思議だ。ふだん忘れていることは思い出しにくい。頭の中には無数の引き出しがあって、記憶はすべてそのどこかの引き出しに入っている。よく使う記憶はその引き出しまでの道筋が明確になっているので思い出しやすいが、ふだん使わない記憶は通らないので道筋が思い出せない。一生懸命思い出そうとしても、そもそもどこに入っているかわからない。
が、何かの拍子に「あ、ここにあった!」と思い出すことがある。思いもよらないところから、まるで掛け金がはずれて飛び出してくるみたいに引き出しがぽん、と出てきて、その中に押し込んであった記憶があふれ出してくるみたいな感じで。長い間閉じ込めていたにもかかわらず、色彩も鮮やかに。

そんな感じで、話の筋を思い出したのだった。

お話は、近代明治の司法の夜明け前のできごと。ロシアの皇太子を日本の巡査が切りつけた、という有名な「大津事件」をモチーフに起こる悲喜こもごも。新しい時代を作るというのは言うほどたやすいことではなく、身に起こるさまざまな出来事に不安定になりながらも生きていく日下先生(野田晋市)がよかった。

ところで、パンフレットを見ていて思った、どうでもいいいろいろなこと。
茂山宗彦のページに「茂山宗彦ジオン公国)」ってあるんですけど、なんで?茂山流はいつからジオン公国に?ってことは、宗彦さんがドズルで、逸平さんがガルマ様?

もうひとつ、どうでもいい業界知識。日本劇作家協会に入ると、座・高円寺が割引料金で利用できるらしい。ほほー。でも私の日常には何の役にも立たない豆知識でした。