晴耕雨読日記(仮)

以前、はてなダイアリーで書いていた「晴耕雨読」の引っ越し先です。今の生活は全くもって「晴耕雨読」ではないので、タイトルは現在思案中。

7月から8月にかけて

しばらく日記を書いていなかったわけですが、この間のトピックスといえば芝居を5本観たことと、福岡アジア映画祭に行ったこと。

なにわバタフライN.V.」は再演。初演も観ています。一人芝居だけど、一人でやってるように感じさせない技術というか芸が素晴らしい。戸田恵子は引き出しをたくさん持っている人だと思うし、その引き出しの中身をいろいろ見せてもらえるのが楽しいです。終演後、なぜか「HR」を観たくなってしまった。なんでだろう。久々に宇部さんを見たかったのかしら。

毎年夏のお楽しみ、「子供のためのシェイクスピア」は「ヘンリー六世」と「リチャード三世」。2時間ずつ別々にやりますが、ヘンリー⇒リチャードの順で観ていたので、話としてはわかりやすかったー。ヘンリーの方は初日で、山崎さんが体調不良で代役が立っていて、どうなることかと思ったけれどもリチャードまでには回復されていてまずは一安心。
この辺のイギリス史って本当に苦手で、二世なのか三世なのかさっぱりわからん!といつも苦々しく思っていたのですが、バラ戦争についてはちょっとわかった気になりました(笑)。

アルジャーノン。ねずみのアルジャーノンは筒井くんか!?とひそかに期待していましたが、残念ながらねずみ役はなし。この日観たのは、チャーリーが阿部丈二、キニアン先生が岡内美喜子のチーム(今回は主役二人がダブルキャスト)。
阿部丈二を私が初めてちゃんと認識したのは、キャラメル本公演ではなく若手公演の「橋を渡ったら泣け」だった。その時キャラメルには阿部くんが二人いて、もう一人の阿部くんはその後キャラメルを退団してしまったのだけど、阿部丈二という役者がキャラメルにいるということを記憶した最初の公演だったのだ。
その後硬軟取り混ぜていろいろ観てきたわけですが、このチャーリーはちょっとすごかった。「かしこくなりたい」と言っていたチャーリーがだんだんIQを上げていく姿が、段階的ではなくて曲線的に表現されていく。上りも下りも。最初はねずみのアルジャーノンに知能的に勝ち、次にキニアン先生を、それからバートを越え、ニーマー教授やストラウス博士も凌駕していって、チャーリーは誰も追いつけない一人ぼっちの世界に行ってしまう。厳しくて寂しい世界。彼はかしこくなりたいだけだったのに。そこから今度は、一度得たと思うものをどんどん失っていく人生が始まる。この間たったの半年。このすさまじい半年を阿部くんが演じきっちゃって、あーこの人どこに行っちゃうんだろう、と思ってしまった。まるでチャーリーみたい。ものすごいスピードで駆け上がってきている。

多田くんバージョンの方は、今週末観に行く予定。阿部くんのあんなチャーリーの後に多田くん、大丈夫かね?と言ったら相方が「いや、彼も『無伴奏ソナタ』をやりきったからね」。
うむ、確かにそうだ。楽しみにしていよう。

とはいえ実はチャーリーでは泣かなかった、圧倒されただけだった。ちょっとうるっと来たのは、鍜治本くんだった。くっそー、かじもんに泣かされる日が来ようとは……去年の「ナツヤスミ語辞典」くらいからちょっと彼に注目中なんです。いい人も出来るし、ちょっと嫌なやつもできる。振れ幅が大きそうなところに注目しています。

最後。月影番外地「くじけまみれ」。アングラ演劇って見たことないんですけど、こんな感じなんですか?
赤羽とか埼玉の人が怒るだろうと思う内容なんだけど、政岡泰志の出す変な汁にやられ、丸山厚人が放つ健康的なマッチョぶりにやられる芝居。「物語が、始まる」⇒「ジェットの窓から手を振るわ」と来て、3本目がこれ!聖子さんはどこに行くのだろう。いや、ついていくけどさ、ついてはいくけどね!