晴耕雨読日記(仮)

以前、はてなダイアリーで書いていた「晴耕雨読」の引っ越し先です。今の生活は全くもって「晴耕雨読」ではないので、タイトルは現在思案中。

「愛を逃す」(韓国)

夜、「愛を逃す」。みんな「あいをにがす」って読んでいたけど、「あいをのがす」じゃないのかなあ。原題も「LOST IN LOVE」だし。
ソル・ギョングのラブストーリーです。韓国では今ひとつ大ヒットとはいかなかったらしい。確かに、万人が感動したりおもしろがったりする内容ではないですね。自分の心の中の、過去の恋の思い出を思い出させるような内容だし。でも、私はこういう作品は好きです。登場人物はいろいろいましたが、ソル・ギョングとソン・ユナの二人のストーリーを丁寧に追っているところがよかった。


ウジェ(ソル・ギョング)とヨンス(ソン・ユナ)は同じ大学の学生。ある日、ウジェは付き合っていた彼女から突然別れを告げられ、泥酔するが、一緒に飲んでいるヨンスは実はウジェのことを思っている。が、そのことを告げられないまま、失意のウジェは大学を辞めて兵役に行ってしまう。


数年後、母校の高校のボート部のコーチになったウジェはひょんなことから獣医になったヨンスと再会する。交流の途絶えていた数年の間に、ウジェはボートで入社した(と思われる)会社をリストラされ、ヨンスは離婚していた。友達として再会した二人だが、少しずつ心が寄り添ってきて、ある日一夜を共にする。
翌朝、ばつが悪そうに起きてくるウジェにヨンスは打ちのめされる。仕事も手につかないまま、夜、彼の部屋を訪ねていくと、彼はひとこと「…すまなかった」と言う。その言葉に傷つき、彼のもとをヨンスは去っていってしまうのだが……。


「好き」だの「愛してる」だの、普通の人は恋愛の中で簡単に口にしないはずで、だからこの映画は共感が持てる。ふたりとも相手に軽々しく自分の気持ちを口に出したりしない。ただだまって相手のことを見つめている。いらいらするけど、でも恋愛ってこうだよねえ、とも思う。


長い間友人でいたために、二人の関係を変えるにはどうすればいいか、二人ともわからない。
例えば友人の紹介とか、最初から女性として意識していたのであれば違ったであろうが、ウジェにとってはヨンスは友人、というところから始まっているために、自分の気持ちの変化についていけない。ヨンスはヨンスで友人としてのウジェを失うのが怖かったのかもしれない。
そして、気持ちを伝える前に体だけ交わしてしまったために、よけいに二人の関係はこじれてしまう。


少女のように純粋に恋をしていたヨンスの母親や、静かにヨンスのそばにいようとした青年など、いろいろな人のそれぞれの恋心が描かれて、そしてウジェはようやく自分の気持ちをはっきりつかんでヨンスにそれを告げようとするが、ヨンスにはそれを拒否されてしまう。「始まってもいないのに、終わったな」と言って、ヨンスのそばを離れていくウジェ。ふたりとも、ひとりで相手を思って涙を流す。


恋愛は、どちらかが好きなだけではうまくいかない。
どちらも相手のことが好きでも、うまくいかないことはある。


ところで、ラストシーン。私は二人が別々の人生を歩いていくと思ったので、あらら?と思ったのですが、どうだろう。うーん。