晴耕雨読日記(仮)

以前、はてなダイアリーで書いていた「晴耕雨読」の引っ越し先です。今の生活は全くもって「晴耕雨読」ではないので、タイトルは現在思案中。

ホウ・シャオシェン映画祭「Metro Lumiere」@シネマヴェーラ渋谷

芝居がはねたら次は渋谷へ移動。本日からホウ・シャオシェン映画祭(漢字ではなくカタカナで書くようです)がスタート。20:30からの「Metro Lumiere」。小津安二郎生誕百年記念として制作された「珈琲時光」について、侯孝賢が語るドキュメンタリー。
始まる前に、ものすごく美しい、山の中の湖の風景がひろがるCMがあり、たばこのCMかと思ったらエールフランスのCMだった。しかもこのCMは侯孝賢監督作品とのこと。エアフラのサイトはこちら。→http://airfrance.touaregstek.com/


フランス人が見ると台北ってこう見えるのか、と思わせる、オープニングの画像。確かにそこに映っているのは見たことのある台北なのだけれども、日本人の私の記憶にはあんな画像は残らないなあ。59分の作品のそこ、ここに捷運木柵線から見える風景が使われる。木柵線の終点あたりに監督のオフィスはあるらしい。彼がオフィスで語る姿と、「珈琲時光」ではプロデューサーだった、侯孝賢組の編集の廖慶松の話と、「珈琲時光」からの引用、そして小津の主に「彼岸花」、あとはちょっとだけ「秋刀魚の味」を引用して組み立てられている。


珈琲時光」は彼にとって初めての請負仕事だった、ということ。日本と台湾の映画作りの違い(廖慶松は「台湾映画界、じゃなくて侯監督の方法との違いです」と言って笑いを取っていましたが)、それに慣れるまで大変だったこと。仕事を請け負ってまず最初にしたことは、東京の電車の路線図を手に入れることだった、ということ。主役の二人をなぜ選んだか。電車内の撮影にどうしてこだわったか、ということ。そして小津安二郎は彼にとってどんな存在かということ。


彼の話は興味深かったです。事実を再現することはほとんど事実に近い。演技で事実を再現することで、俳優たちにその事実を真実にさせる、そのことが画面に説得力をもたせるのだと確信して映画を作っている。ものすごく神経を使って映画を作っている。すごく芸術家肌の人なんだなあ、と感じました。
実は「珈琲時光」は未見なので、この映画祭中に観るつもり。楽しみにしていよう。