晴耕雨読日記(仮)

以前、はてなダイアリーで書いていた「晴耕雨読」の引っ越し先です。今の生活は全くもって「晴耕雨読」ではないので、タイトルは現在思案中。

東京フィルメックス「黒眼圏」

で、成田から直行で、有楽町朝日ホール東京フィルメックス最終日のクロージングフィルム、蔡明亮の「黒眼圏」。


蔡明亮の映画は私にとってはどんどんハードルが高くなっているというか、ハードルと言うよりは走り高跳びのバーみたいな感じで、「西瓜」を見たときにもうだめかも、と思っていたのですが、結局「黒眼圏」も見てしまったわけですが。うーん、どう解釈したものでしょうか。なんというか、素直に「わかりません」と言いたい気分。だって、中途半端に解釈してもぜんぶはずれている気がするし。
ただ、今回は蔡明亮が仕事でヨーロッパに行っているとかで、Q&Aはチェン・シャンチーが登場したのですが、このQ&Aはよかったです。いつものティーチインだと蔡明亮判じ物めいた説明を一生懸命考えたり、なんだか謎かけされて終わり、みたいな感じになったり、李康生の言葉少ない回答で終わったりするわけですが、チェン・シャンチーは何か一生懸命観衆に伝えようとしていた印象があります。また、蔡明亮でもなく李康生でもない人から蔡明亮映画について聞けたのもよかった。


「小康は蔡明亮監督にとってのミューズなんです」というのは、ちょっとつっこみどころか?という感じでしたが、確かにミューズかもしんない。李康生は本当に実生活でも言葉少ない人で、あのまんまの人らしい。蔡明亮にとってはそんな李康生の存在そのものにいやされ、そしてインスパイアされて作品が生まれてくるんだそうだ。なるほどね。あと「監督は、言葉がコミュニケーションを阻害すると思っているふしがある」というのも納得。だってどんどん台詞がなくなってくるんですもん。本当に。
チェン・シャンチーの話が聞けただけでも、見に来てよかった。