闇に、沈丁花の香り。
本当は水曜日だし、「墨攻」を見に行こうかなと思っていたのだけど、仕事が終わらず会社を出たのが23時前。しかも出る間際にちょっといやなことがあって、くさくさしながら帰ってきた。
地下鉄の地上出口に出て歩いていたら、どこからか甘い匂いがする。沈丁花の香りだ。
小学校を卒業する直前まで住んでいた家の庭には沈丁花の木があった。
うちの沈丁花は元気な若者だったのか、花が開くと強烈に甘い香りが漂っていた。
どんなに寒い冬でも、この花が咲くと冬の終わりが近いのだという気がしてくる。
田舎の家だったので、敷地面積はやたらに広く、表は庭、裏は畑で、野放図にいろいろな花や木がある家だった。
冬は沈丁花、春はだいだいの花、と香りで季節を知らせてくれることが多かった。
今の生活を思うと、つくづく牧歌的で、豊かな子ども時代だったんだなあと思う。
沈丁花の香りをかぐと、そんな子ども時代を思い出して、ちょっと心癒されるような気分になるのであった。
春も近いんですね。というか、今年東京は冬はなかったか(笑)