晴耕雨読日記(仮)

以前、はてなダイアリーで書いていた「晴耕雨読」の引っ越し先です。今の生活は全くもって「晴耕雨読」ではないので、タイトルは現在思案中。

シンガポール国立大学

旦那さんが買いたい本があるというのでシンガポール国立大学(NUS)へ。MRTでVuona Vistaまで行き、そこから95番のバスに乗り換えていく。


それにしても。
シンガポールが複合民族国家であるということは頭ではわかっていたけれども、MRTに乗っていると現実にそうなんだなあ、とあらためて思う。華人とインド系とマレー系。あと、一見何系かわからない人々もいる。複合しているけれどもそれぞれの間には交じり得ない何かがあるのかもしれない。華人華人と歩いているし、マレー系の人の隣にいるのはマレー系。民族の違う人のグループというのはあまり見かけない。一度だけ、同僚らしい女性グループで華人とインド系とマレー系が一緒に歩いているのを見たことがあるが……まあ、観光客が2日いるだけでは何も見えてこないだろうけど。


さて、NUSは広い大学だ。広い、というか……大学で一つの街という感じか。以前行ったことのある北京の清華大学もそうだったが、外国の総合大学は規模感が違う。NUSの敷地に入ってから私たちが降りるまでバス停が何個あったことか。あちこちに大きな駐車場もあり、まあとにかく大きいのだ。


生協が見つからないのでまず腹ごしらえしよう、と学食に行く。いくつかの屋台で買ってきてテーブルで食べる、ホーカーズスタイルだ。ここではマレー系のお店で、サワーフィッシュを食べた。お店のおばちゃんはこれは肉でこれは魚、と親切に教えてくれる。もちろんハラルフードで「HALAL」という張り紙もしてある。
上にカレーをかけてもらったが、辛すぎずおいしかった。ここは値段も安いしお勧めだなあ。
食器を下げるワゴンが「MUSLIM」と「NON MUSLIM」に分かれているのはたぶん宗教的な理由なんだろう。MUSLIM料理のお店のお皿は「MUSLIM」へ、コーヒーカップは「NON MUSLIM」に置いて帰る。


その後見つけた学生生協では、旦那さんのお目当ての本は見つからなかった。私はたまたま見かけた「学語致用」という本を購入。副題に「李光耀華語学習心得」とある。これはマルチリンガルとして有名だったシンガポールの前首相(今は内閣顧問)のリー・クアン・ユー氏の語学指南の本のようだ。客家人は語学に長けている人が多いというが、氏はシンガポールをまとめるために住民に語りかける演説にはその住民たちの言語を使ったという話を読んだことがある。そのための、福建語演説原稿(ローマ字で発音記載あり)の写真なども載っていて興味深い。


学生生協は新学期前だからか大賑わいだった。学生のほとんどはこの国の人なのだろう、華人、マレー人、インド系が多いが、その他にも西洋系の学生、ブラックアメリカンであろう学生、日本語や韓国語も聞こえてくる。いろいろな民族がいるという状況は香港でもよく体験することではあるが、ここは若い人たちばかりのせいか、混じり度合いがまた格別な気がする。
市街から離れた、別の都市の中にいちいち数えているときりがない人種が(しかも年齢的にある幅に集中している)集まっている−−そんな状態に身を置いているだけでも、なんだか異文化体験してる感じがした。