「タイペイ・ストーリー」
侯孝賢を追ったドキュメンタリー「HHH」で、陳國富がエドワード・ヤンや侯孝賢と過ごしたあの頃に戻りたいと言っていたことをこの映画を見ながらしみじみ思い出した。
ちゃんとした映画なのに、顔見知り(?)が出ているせいか、どこか同人映画みたいなにおいもする。考えすぎだとは思うが、まだ仲がよかった頃の侯孝賢とエドワード・ヤンについてどうしても思いをはせてしまうのだった。見たことないけど。
蔡琴と侯孝賢は幼なじみの延長で恋人同士、みたいな関係なのだけど、この二人、価値基準とかそういうものが全然違う感じがして、最後まで恋人同士に見えなかった。流行の先端を行く(行こうとしている)蔡琴と、古い世代のおじさんたちに受けの好い侯孝賢。蔡琴はやたらに結婚を口にするんだけど、「いや、あなたたち合わないでしょ?」と思ってしまう二人だった。まあ、結婚は必ずしも恋愛の果てにあるわけじゃないからいいのだろうか?
侯孝賢が好青年で、笑える(←失礼な)。口の重い、人情を大事にする元野球小僧。そういう役なんだからそう見えて当然なのだけども、あの好青年があのようなおっさんになるのか……(笑)。呉先生がまた「えっ」というような役で出ていて、それもまた意外だった。