恩田陸「夜のピクニック」
もうすぐ映画の公開が近い、ということでようやく文庫化されました。文庫になるまで待っていたのだ。
- 作者: 恩田陸
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/09/07
- メディア: 文庫
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とある高校の、「鍛錬歩行祭」と言われる学校行事の一日(夜通し歩いて翌日になっているから二日、か?)を描く、最初から最後まで、高校生たちが歩き続ける話。本当に、ただ歩いているだけなのだが、作中に書かれているようにずっと歩き続けているといろいろなことを考えさせられる、その気持ちに読んでいるこちらも同化して、読んでいる間いろいろなことを考えた。
うちは女子校だったのでなかったが、私の友人たちの通っている高校でもこういう行事はよくあったように思う。「徒歩大会」とか「●●㎞ハイク」とかいろんな名前がついていたけども。
私の通っていた高校ではこんなに長距離(70㎞だか80㎞だか)は歩かなかったけれども、毎年徒歩遠足はあった。3学年が全員でぞろぞろと歩く。距離は10㎞足らずぐらいだが、どういうわけだか制服に革靴で歩かされるのだ。旧制の高等女学校だったせいか学力は低くても服装にはうるさく、制服、学校指定バッグに白の三つ折りソックス、黒い革靴という折り目正しい女子高生が800人でぞろぞろ歩くのだ。
革靴で、10㎞も歩けば足に来る。初めての歩行遠足では響灘の近くにある神社まで歩いた(うちの高校は窓から周防灘が見えます)のだが、その時は腰に来た。家に帰るまで、ブロック塀に手をついて塀づたいに帰ったのを覚えている。翌年は関門人道トンネルを歩いて渡って、門司にある和布刈公園まで行った。この時はそこまで疲れた覚えはなく、歩ききった後にみんなで食べたお弁当がおいしかったことを覚えているので、そんなにつらくはなかったのだろう。
歩くことを軽く思っていたのか、その後大学1年の時に秋吉−宇部40㎞ハイクというのに参加したことがある。これは秋吉台から夜通し歩いて宇部の山口大学宇部キャンパスまで歩いていくというイベント。この時は「夜のピクニック」のように仮眠所があったり、炊き出しがあったりした。この時は終わって3日くらいは背中から足までが動くたびに痛くてつらかった。
この40㎞ハイクでは真夜中に小野湖という人工ダム湖のそばを歩く。真っ暗な中、暗い湖のそばを黙々と歩きながら、なんで歩いてるんだろうとずっと考えていた。長距離を歩くと口が動かなくなる。ひたすら足を動かすことに神経が集中して、頭の中が真っ白になる。無の状態がしばらく続いて、ふと気がつくと何かをずっと考えていたりするのだ。考えていることを意識しないまま考えていたりする。
そういえば、何もしないで考えるという作業をこのところしていない気がする。
通勤時間とか、ひとりになる時間はいろいろとあるのに、音楽を聴いていたり本を読んでいたりゲームをしていたり(笑)。ひとつのことをずっと考えるということをしていないなあ……
歩く、という動作は考えるのに向いているのかな。
だとしたら、ウォーキングでも始めてみますかな。